この本のレビュー

なんというか、久しぶりにこういう本を読んだです。
愛する者を失った男女が徐々に心を通わせて……というタイプのお話は
よくあるかもしれませんが、これはちょっと違うんです。

ざっとご紹介すると、
愛する夫が、彼の友人の妻と不倫関係にあることを知って悩むヒロイン。
彼女は事故で夫を失います。事故は友人の妻も道連れにしました。
それを知らない友人は、愛する自分の妻が事故にあったことで
はじめて妻の不貞を知りどん底に突き落とされる……

まあ、お互いの伴侶が浮気してたことに気がついた二人が
うわああああ、ってなるお話なんですが。

という、ちょっとこれってロマンス小説よね？ロマンスよね？
未亡人設定は多々あれど、本当にハッピーエンドなの？
と念を押したくなるような設定なのですが、
とても丁寧な描写で、ずーんと心に響きます。

ただ、自分を変えようと前向きに進もうとするヒロインの行動は
かなり突拍子も無いことだったりするんですが、
なんか無性に話にぐいぐいと引き込まれていくんです。

ヒロイン。自分を追い込むことになるのはわかってるのに
どうしてもやらざるを得ないことってあると思うデス。
自分を見失わないために。自分の尊厳を保つために。
まあ、そのせいでやっぱり辛いことになるんですけど
受け入れて潔いのがよいです。
ヒロイン、かなり若いはずなんですけど
辛い思いした未亡人ということもあってか、精神年齢高いかも。

ヒーローもヒロインも、ものすごく自分に正直なのです。
ただ、正直すぎることって、結局自分が傷つくことになるのです。
嘘つくほうが簡単なことってあるのに、それができない。
すれ違い。勘違い。よくある展開だといわれるかもですが
大人向けのお話かもしれませんです。

エリザベス・ホイトとメアリ・バログをたして割ったような
それにロレイン・ヒースを加えたような、
しっとりしっぽり丁寧な大人のロマンスらしいロマンス。

ホットかといわれたらそういうシーンは少ないです。
ただ、少ないですがかなりガッツリと濃いです。ドラマチックな感じです。

すみません。なんかいつもみたいなアッヒャヒャヒャな突っ込みできなくて。
つまり、そういうお話じゃないんです。読みながら（真顔）になっちゃう系というか。

お気をつけください。うっかり読むと、感動して涙するかもしれません。
とにかく良作だと思うので、広くロマンス好きな淑女に知っていただきたいです。

（管理人）