ベルベット文庫「花嫁はランの花に抱かれて」
大特集!漫画であらすじ紹介&編集部座談会&著者メッセージ!
編集Iレノーラ・ベルの大ファン!彼女の作品に惚れこんでます!
読者T昨年レノーラ・ベルからサインを貰ったロマンス小説ファン。
読者Nロマンスヒルズ中谷。インドが大好き。ロマンスはもっと好き。
レノーラ・ベル先生はとても気さくでフレンドリー!
Iこのたびは、レノーラ・ベルの新作『花嫁はランの花に抱かれて』座談会にお越しいただきありがとうございました!
ベルさんのシリーズはとても面白くて、私も大好きなんです。今日は皆さんとベルさんの作品の魅力について存分に語りたいとおもいます。よろしくお願いいたします!
Iさて、Tさんはレノーラ・ベルさんにお会いしたとお聞きましたが、どういう経緯でお会いしたのですか?
T昨年2017年にアメリカで行われたロマンス小説作家が集まるイベントに行ったときにお会いしたんです。ちょうどベルベット文庫『公爵のキスはココアの香り』を読んだばかりで、その作家さんが来るということで是非会いたいと思って。本を持っていってサインも貰ったんですよ!
Iわー!素敵!ベルさんに本を見ていただいたんですね。ありがとうございます!ベルさんはどんな方でしたか?
T気さくでフレンドリーな方で、私が日本から来たといって本をお見せしたらとても喜んで、ハグしてもらいました!まだ新人ということですが、サイン会には行列ができていましたし、とても人気があるご様子でした。
I日本語版について何かおっしゃっていましたか?
T「表紙が素敵」と! 綺麗だし、表紙に小説の中に登場するアイテム(ココア)が入っているところが気に入っているということでした。あと、日本語は縦書きなので珍しいみたいですね。実は今回の座談会のことをメールでお伝えしたら、素敵なメッセージをいただいたんです!(スマホのメールを見せる)
Iキャー!(歓声)ありがとうございます! どんな内容ですか?
T 読者の方に本シリーズの説明や裏話、次回作についてのご紹介もいただきました。
I ありがたいです~! →いただいた著者メッセージはこちら!
ココアの香りやバラの香りが漂ってくるような素敵な作品♪
I本シリーズの1作目は『公爵のキスはココアの香り』。皆さんはどういったところが面白いと思われましたか?
Tベルさんは海外で生活していたことも多いそうで、エキゾチックなモチーフがちりばめられているところが新鮮です。
Iそうですよね。あと、「香り」や空気感というか、文章の中に五感を刺激する表現が多くて。ココアの香りや薔薇の香りが漂ってくるみたいで。読んでいるとその場にいるような臨場感があります。
N物語は超がつくほど王道なのに、次どうなるかが予測できない。ステレオタイプじゃない個性的な登場人物たちに惹かれます。従わない従者(笑)とか、脇役がチャーミング。1作目、ヒロインに柔術を教えたヤマモト・キュウゾウさん。いい味だしてましたね。
Tキュウゾウさんには幸せになってほしいですね! ココア工場も軌道にのったみたいですし。彼のロマンスも読みたいです。
I本シリーズは社会派な面もありますよね。『公爵のキスはココアの香り』ではココア工場の労働問題。新作でも正義感が強いヒロインが活躍しますし、脇役も含めて世界観がダイナミック。
Tヒロインがとても魅力的。芯が強くて、自分を抑圧している世界から抜け出そうともがき、前に進もうとするところは、ヒストリカルだけど現代的な思考をもっていて、好印象なんです。
Iもちろんヒーローもいい!ヒロインの能力を後押ししてくれて、正当に評価している。3作目のラストは私、泣きそうになりました……
T日本だと「スパダリ」といわれるヒーローの資質を全て兼ね備えているんですよね! 特にベルさんの作品のヒーローは、とても頼りがいがあって素敵なんです。
Iそうそう! 2作目『公爵とのワルツは秘密の匂い』のヒーローはダークな感じですが、実は正義の味方ですし。恋に落ちないようにと自分を律そうとしつつもどうしようもなくなり右往左往するところが最高に面白い!
T2作目の『公爵とのワルツを~』は、1作目では親の言いなりになっていた弱気なヒロインが、自分を取り戻していく物語でした。放蕩者のヒーローと対等に交渉するのもよかった。あと、とんでもないシーンもたくさんあって。○○○○○に間違われて裸のヒーローを足で○○とか、そんなロマンス小説のヒロイン初めてでした(笑)
N序盤に出てくるんですよ。そういうパワフルなシーンが。あと猛獣のはずの○○○○とか。予測不可能!
Iあまりの引きの強さに、最後までグイグイ読んでしまう(笑)
Tベルさんからいただいたメールにもあるのですが「私はクラシックな古典文芸と、現代のカルチャーをミックスさせて作品を書いています」ということですし、王道で古典的な流れにも、現代的なテンポのよさがあるんですよね。
Iヒストリカルの中にある現代的な要素が、ファンをひきつけるのかもしれませんね。
最新作『花嫁はランの花に抱かれて』の面白さを語る!
Iさて、新作の『花嫁はランの花に抱かれて』はいかがでしたか?
Tすみません、序盤から大笑いしました。家で読んでてよかった……借金のカタに売られるヒーロー(笑)
N本作は、笑えるところがたくさんありますよね。もちろんシリアスなシーンもありますが、バランスがいい。
Iヒロインも楽しいんですよ。まさか1作目から登場していたあの変わり者のアリスに、こんな能力があったとは!
Tヒーロー、最初からもうヒロインにベタぼれですよね。アリスの能力を知って彼女への例のものをプレゼントをしたところとか、最高でした!
Nサンスクリット語の翻訳が出来るヒロイン(笑)おまけに内容がカーマスートラ! 私もびっくりしました。
INさんはインド文化を研究されていたことがあるということで、この分野に詳しいということですが、アリスが嗜んでいたというサンスクリット語はどんな言葉なんでしょうか?
N紀元前からある古い言葉で、今でもヒンドゥー教徒のお祈りはサンスクリット語で唱えられています。実はサンスクリット語のアルファベットは比較的簡単なんです。日本語の五十音順の並びは、サンスクリット語の文字と同じデーヴァナーガリー文字の並びをまねしたものなので、アルファベットさえ覚えてしまえばなんとなく読み書きはできます。でも、文法がめちゃくちゃ難しい。
Tドイツ語みたいに格変化があるんですか?
Nはい。ヨーロッパと同じ系列の言語なので、ラテン語とかと同じような法則ですが。ただかなり独特なので、よほど言語が好きな方じゃないと翻訳できるまでのスキルを身につけるのは難しいかと……アリス本当にすごい……
Iアリスは『カーマスートラ』を翻訳していますが、これはどういう内容の本なのでしょうか。私たちも読んでみたのですが、性的な内容がたくさんある本と聞いていたのに、実際は生活規範のような内容が多くて意外でした。
N『カーマスートラ』は「カーマ(愛)」の「スートラ(教本)」なので、性愛に関する部分がよく取り沙汰されるのですが(六十四の体位とか!)実はそれは一部。男性と女性が正しく会話し、お互いを理解し尊重するために必要な内容が書かれています。古代インドではすでに、アルタ(実利。経済や国政)、ダルマ(法律)、カーマ(愛)がそれぞれ学問として確立しているので、真面目に学術的に男女の関係を研究した書物なのです。
Tベルさん、すごく研究されているのですね。エロティックな指南書というわけではないと文中にも書いてありましたし。
Nはい。ネコのカリちゃんの名前の元になったカーリー女神は、ヒンドゥー教のシヴァ神の奥さんです。ヒンドゥー教には男性原理と女性原理の融合を世界の中心と見立てている考え方があります。あとがきにあったカジュラホの寺院にあるミトゥナ像も、そういう宗教的意味合いがあるのだといわれています。
Iベルさんの作品は、ロマンス以外のことをたくさんご存知なので驚いています。1作目のココア工場では経済や社会問題。2作目はイタリア芸術。そして3作目はインド文化。そういうところが、作品の深みを出すのでしょうね。
Tヒーローのお父様の病気とか、今回も社会派視点も交えていてよいですね。
Iでも、硬いお話というわけじゃなくて、ホットなロマンスシーンもある。
Tええ。程よいホット度合いで、ロマンスとストーリー重視の作品。読むと新しい知識も増えていく。ベルさんの作品は本当に面白い!!
Iアリスの率直さもいいですよね。様々なシーンにおいて知識欲旺盛なところも大好きです(笑)あと、ヒーローをフォローできる強さも素敵。
N本作はこれでシリーズが終わりということですが、ベルさんの次回作はどんな作品なのでしょう?
T新しいシリーズが登場するそうですが、本シリーズと関係あるかもしれないです。楽しみですね!